皮膚科
皮膚科
皮膚科一般の診療、髪の毛、爪疾患も扱います。必要に応じて日帰り手術も行います。美容皮膚科の分野、保険対象外診療も行い、脱毛、シミの改善などのスキンケアも相談ください。患者さんの立場に立ち、プライバシーにできる限り配慮し治療します。


アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、”かゆみのある慢性的な湿疹”のことです。
素因として皮膚の乾燥、バリア機能異常がもともとあります。
様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じる、あるいは悪化させていきます。
採血で、view39というアレルギー検査なども行っています。
大人になってからも、例えば、もともと乾燥肌だった人が、一人暮らし、学校が始まる、転勤した、妊娠したなど環境が変わって悪化することもあります。
皮膚科学会のガイドラインでは治療目標として
”治療の最終目標(ゴール)は、症状がないか、あっても軽微で、日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態に到達し、それを維持することである。また、このレベルに到達しない場合でも、症状が軽微で、日常生活に支障をきたすような急な悪化が起こらない状態を維持することを目標とする。”
と、されています。
そのゴールに向かって、当院でも治療を行っていきます。
ステロイド外用剤、非ステロイド外用剤(コレクチム軟膏、モイゼルト軟膏、タクロリムス軟膏)、保湿剤を主体とし、抗アレルギー剤を補助的に利用した治療を主に行います。
ひどいときには、紫外線の照射も効果があり、積極的に照射しています。効果がなければ、照射する必要はありません。
初診時には、外用剤の塗り方も見ていただくために、治療も兼ねて外用剤を塗ることもあります。
ご自身、あるいはご家族で、うまく軟膏を調整して塗れる事が目標だと考えています。
どうしてもコントロールできない場合には、高額な治療にはなりますが、デュピルマブという注射製剤もあります。適応があれば使用を開始します。
◆当院で扱っている生物学的製剤について
皮膚科で使用される生物学的製剤は、主に自己免疫疾患に関連する皮膚疾患の治療に用いられます。これらは免疫系の異常によって引き起こされる皮膚の炎症を抑えるために使用されます。
(デュピクセント®300mgペン /イブグリース®皮下注250mgオートインジェクター/ミチーガ® 30mg 対応)(2025年7月)
こんなお悩みの方に対応できるかもしれません。
- 長年アトピー性皮膚炎に悩んでいる
- 軽快と悪化を繰り返し、日常生活に支障がある
- 外用薬だけでは効果が不十分
- お子さんの治療について、よりよい選択肢を探している
重症例でも高い効果が期待できるため、皮膚科専門医の診断のもと、適切な患者さんにご提案し、効果を評価しながら、治療を進めていきます。
1. デュピクセント®(Dupixent®)(当院では15歳以上)
IL-4、IL-13を標的とします。
300mg ペン型に適応がある疾患、年齢の方。アトピー性皮膚炎(成人)、結節性痒疹(成人)
- 中等症〜重症のアトピー性皮膚炎
- 外用療法や内服療法で十分な効果が得られていない方
適応の有無は、診察のときに判断いたします。
在宅自己注射の指導を行い、初回導入・継続投与ともに対応
2. イブグリース®(Ebglyss®)
IL-13を標的とします。
アトピー性皮膚炎
- 中等症〜重症のアトピー性皮膚炎
- 外用療法や内服療法で十分な効果が得られていない方
適応の有無は、診察のときに判断いたします。
在宅自己注射の指導を行い、初回導入・継続投与ともに対応
3. ミチーガ®(Mitchga®)(当院ではミチーガ30mgのみ現在採用しており、下記の方に対応しています。)
IL-31を標的とします。
アトピー性皮膚炎(小児用(30mg製剤):6歳〜13歳未満(体重基準あり))、結節性痒疹(成人、13歳以上の小児)
- 外用薬などの治療ではコントロール困難な場合
治療の流れ(初診〜導入まで)
- 初診・ご相談
病歴・現在の治療状況を伺います。 - 診察と評価
症状・皮膚スコア(EASI等)・過去の治療内容から、生物学的製剤の適応を判断 - 導入のご説明
薬剤の特徴・副作用・自己注射の有無・費用(自己負担目安)などを説明。ミチーガは該当疾患の治療を開始して、一ヶ月以上経過してから、デュピクセント、イブグリースは六ヶ月以上経過してから使用できるという要件があります。 - 導入開始
保険診療での初回投与・必要に応じた治療のサポート
よくあるご質問(FAQ)
- 高額な薬だと聞きましたが、費用は?
- 保険診療での対応です。条件が合えば、高額療養費制度の対象となるため、上限以上の負担はかかりません。
- 治療中の副作用は大丈夫ですか?
- 全例に対して、皮膚科専門医が定期的に副作用のチェックを行います。万が一の際も迅速に対応します。
診療体制
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が診療
- 小児のアトピー治療も多くの実績あり
- モイゼルト、コレクチム軟膏も積極的に処方し、必要以上にステロイドを使用しないようにしています。
生物学的製剤の特徴と留意点
- 注射による投与:多くの場合、皮膚科の生物学的製剤は注射で投与されます。定期的な注射が必要な場合が多いです。
- 効果の発現が早い:従来の治療薬よりも短期間で効果が現れることがあります。
- 副作用:免疫系を抑制するため、感染症のリスクが増加することがあります。また、アレルギー反応や注射部位の反応なども見られることがあります。
水虫
水虫(足白癬)は足の皮膚がガサガサ、爪が白く濁ったりする状態です。
とは言っても、痒みがない水虫も多く、ご自身では全く認識されていない場合も多いです。
診断には、皮膚糸状菌検査が必須です。
足の皮膚を見た目だけでは、どんなにエキスパートでも正確な診断は困難です。
皮膚表面をこすって、皮膚を集め、顕微鏡で水虫菌がいないか確認します。
治療としていくつかの抗真菌(カビ)剤を使い分けて使います。
爪の水虫では専用の治療薬を使用します。外用、または内服を行います。内服は効果が高いのですが、肝機能検査値の異常が出ることがあるため、必ず採血をして異常がないか確認します。
不快な菌ですので、かゆくなくても、また、他の方に移さないためにも治療をすることをおすすめします。
湿疹
痒みのある、ガサガサの皮膚です。
すべての皮疹を湿疹と呼ぶ方もいるのですが、皮膚が炎症を起こして赤くなったり、水疱ができたり、ぶつぶつが出来たりする状態の事を湿疹と呼びます。
手湿疹、貨幣状湿疹、接触皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性湿疹など様々な状態があります。皮膚のどこにでも起こり得る疾患です。
治りにくいものでは、皮膚腫瘍が潜んでいたり、カビが混在することもありますので、念頭に置いて治療をしていかなくてはなりません。
じんましん(蕁麻疹)
じんましんは、一時的にかゆみを伴う膨らんだような発疹(膨疹)が出てくる病気です。
膨疹は、丸かったり、網目状に広がったりします。24時間以内に消えていくのが特徴です。
じんましんの七割は明らかな誘引がなく、出現してくることが多いです。
急性じんましんでは、10日程度で落ち着いていきます。ただ、慢性化することもあります。
慢性のじんましんでも、一年から三年で治っていく人が多いです。
治療としては、抗アレルギー剤を内服して落ち着かせていくのが基本になります。
当院では、できるだけ新しい世代の抗アレルギー剤を使用するようにしています。ステロイド内服は、できるだけ避けるように治療をしていきます。
効果が出ないときには、抗ロイコトリエン薬、H2受容体拮抗薬、漢方薬などを併せて飲んでいきます。
急性期のじんましんは一週間程度内服をしていただきます。
慢性になった場合には、月単位で内服を継続して、状態を確認しながら減量したり、中止していきます。
ニキビ(痤瘡)
毛穴の角化異常が起こり毛穴が詰まりやすくなり、また、皮脂が多く分泌されるようになりできてきます。まず、つまった状態が面皰(めんぽう)という状態です。
そこに、Cutibacterium acnesというニキビ菌が増殖して炎症を伴うことでいわゆる痤瘡(ざそう)の状態になります。この状態のときに多くの炎症物質が出てくることで、瘢痕化、クレーター状のニキビ跡ができるようになります。
思春期の頃にできる思春期ニキビ、成人にできる思春期後ニキビがあります。
いずれも、短期間での治療を考えるものではなく、長期治療を必要とすることが多いです。
にきびに、酒さ(しゅさ)、ニキビダニ、カビが混在していこともあります。
治療には、アダパレン、過酸化ベンゾイル、抗菌剤(塗り薬、飲み薬)を用います。当院では、皮膚の症状に合わせて漢方薬を併用することで、効果を上げるようにしています。ただ、漢方薬が苦手な方、合わない方もいらっしゃいますので、粉ではなく、錠剤での処方にしたり、併用しない場合もあります。
抗生剤は、耐性菌を作りますので、長期の使用は避けるようにしています。
まずは、保険の範囲での治療をおすすめしています。
保険外の治療については、ご希望があればご案内させていただきます。お気軽にお伝え下さい。
イボ
イボという名称はよく聞かれますが、医学用語ではなく、一般名称になります。
皮膚表面に膨らんでいるものの総称と言ってよいかと思います。そのため、イボの中にはウイルス性のイボである尋常性疣贅や、良性、悪性皮膚腫瘍など幅広いものが含まれています。
外来でよく出会う代表的なイボとしては以下のものがあります。
水いぼ(伝染性軟属腫):
ウイルス性のイボです。小児期にできる、白色のやや光沢を持つ1mm〜3mm程度の隆起です。
どこからか、うつって来ます。いずれは自然に治っていくのですが、それまでにどんどん増えていくことがあります。増える傾向があるときには摘除していくことをおすすめしています。
保険適応のある効果的な薬剤はありません。
当院では、表面麻酔のテープをして痛みを和らげるようにしてから摘除していきます。
尋常性疣贅:
ウイルス性のイボです。手や、足にできることが多いです。一般的には1mmから、1cm程度のサイズが多いです。固くなり角化していきます。
治りにくく、多発してくることがあります。
顔や、鼻の中などにもできる事があります。
ヨクイニンの内服や、液体窒素で凝固させて治療していきます。
脂漏性角化症:
別名、老人性疣贅ともいいます。とは言え、20歳代から出来始める方もあります。顔や首、体などによく見かけます。かゆみを伴うことがあります。液体窒素での治療が一般的です。
軟線維腫:
皮膚の色、または軽く褐色を帯びた茎を伴う隆起です。良性腫瘍になります。首の部分で切除、または摘出します。
シミ(保険対象のシミ)
シミには、色々なものがありますが、、次のシミについては保険でのレーザー治療が適応になります。
- 扁平母斑(へんぺいぼはん):茶色や黒色の平らな母斑
- 太田母斑(おおたぼはん):顔面に現れる青色や灰色の母斑
- 異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん):通常はお尻にできる蒙古斑が他の部位にできる場合
- 外傷性色素沈着症(がいしょうせいしきそちんちゃくしょう):外傷や炎症後に皮膚に残る色素沈着
Qスイッチルビーレーザー(QSRL)で対応します
使用するレーザーはエムアンドエムニークのQ-SWルビーレーザーMODEL IB103(https://www.mm-japan.co.jp/product/ib103.html)です。QSRL治療は、一般的に数回の照射が必要です。具体的な回数は、病変の種類や範囲、個々の患者さんの反応によりますが、多くの場合、2〜5回程度の治療が推奨されます。
照射時には、次のような変化が出ます。
- 照射部位にレーザー照射後の反応が起こります。5日前後でかさぶたになり、その後2週間程度でかさぶたが取れます。その後、炎症後色素沈着を起こし、かえって色が濃くなることがあります。
- 照射直後から、かさぶたが取れるまでは軟膏、ガーゼを使用し、十分に保護・日焼け対策をしてください。1週間後には受診して、医師の診察を受けてください。
- 炎症後色素沈着が取れるまでは特に紫外線対策が重要です。日焼けは厳禁ですので、日焼け止めなどを使用してください。
費用の目安
保険適用時の具体的な費用は、適用される保険、治療を行う部位や面積によって異なります。診療報酬点数としては、以下のように決められています。
Qスイッチ付レーザー照射療法 | |
---|---|
4平方センチメートル未満 | 2,000点 |
4平方センチメートル以上16平方センチメートル未満 | 2,370点 |
16平方センチメートル以上64平方センチメートル未満 | 2,900点 |
64平方センチメートル以上 | 3,950点 |
QSRL治療の流れ
- 診察と相談:まずは医師の診察を受け、治療が保険適用となるか確認します。
- レーザー施術予約:治療の予約をします。
- 治療開始:レーザー照射を行います。痛みがあります。痛み止めの処置をご希望される方は、あらかじめお知らせください。
- 経過観察:治療後の経過を観察し、必要に応じて次回の照射を行います。
安全性と副作用
QSRLは、安全性が高く、副作用も少ない治療法です。が、色素沈着、色素脱失などおこすこともあります。
多汗症(腋窩多汗症、手掌多汗症)
多汗症は「病気」として認められています。
ガイドラインでは、「温熱や精神的負荷の有無にかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の発汗を生じる状態」と定義されています。学校などで手の汗で紙が濡れたり、握手をためらってしまうなど、気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。わきや手のひらの多汗症は、保険適応の塗り薬での治療があります。
多汗症の診断基準(病気と判断される基準)としては、下記のうち2項目以上が該当する場合です。
- 発症が25歳以下である
- 左右対称性に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 週1回以上の多汗のエピソードがある
- 家族歴がみられる
- それらにより日常生活に支障をきたす
また、下記の重症度判定でスコア3以上が治療の適応になります。
- スコア1:発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- スコア2:発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- スコア3:発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- スコア4:発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
わきの汗:腋窩多汗症(えきかたかんしょう)
- 症状:
- わきに過剰な汗をかく状態のことで、例えば、授業中、会議などのときに人前で腕を上げるときに気になる、
制服や、スーツなどのわき汗が目立って気になる、汗パットがないと困る、汗が目立つ洋服を避けている、などがあります。
- 主な治療法:
- ラピフォートワイプ(1日1回シートで拭くタイプ。旅行など携帯に便利)、エクロックゲル(1日1回塗布、発汗を抑制)
- 副作用:
- 肌の赤み、かゆみなど
- 禁忌(使えない方):
- 閉塞隅角緑内障の方、排尿障害のある前立腺肥大の方
手のひらの汗:手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)の治療
- 症状:
- 手のひらに過度な汗をかく症状で、例えば、学校、会社などのプリント、紙が濡れて困る、握手のときなどに気になる、
パソコンやスマートフォン操作に困ったり、壊れるのではと心配、手から汗がにじみ出てくる、などがあります。
- 主な治療法:
- アポハイドローション(1日1回、寝る前に塗布)
- 副作用:
- 肌の乾燥、かゆみ、軽いピリピリ感。重篤な副作用は少ないです。
- 外用薬以外の治療法:
- ※保険適応はありますが、下記の治療は当院では実施しておりません。)
イオントフォレーシス(微弱電流で発汗を抑制)、腋窩のボトックス注射(発汗神経をブロック)、
手術(交感神経遮断術。)